2023年10月に始まったインボイス制度は、2026年9月で3年目に入りました。登録した人、見送った人、取引先の対応。それぞれの現在地は数字に表れています。

結論から言えば、制度は定着しつつあり、負担の議論は終わっていません。この記事では、公的データで現在地を整理し、2026年10月の変更点を確認します。

インボイス制度3年間の主な動き

制度から3年で何が変わったか

インボイス制度が始まったのは2023年10月です。2026年9月の時点で、制度は3年目に入っています。

この間に登録申請者は47.3%まで増えました。ただし2024年度調査の47.8%からほぼ横ばいで、登録するつもりはない層も28.2%残っています。登録の有無は職種によっても偏りがあります。

フリーランス協会の調査では、政府に早急な対策を求める問題の1位がインボイス制度で62.7%でした。制度の認知が進んでも、負担の実感は残っています。

出典: フリーランス協会『フリーランス白書2026』p.1(https://blog.freelance-jp.org/20260609-25645/, 閲覧日2026-06-17)

登録する人としない人の分かれ方

登録を決めた人の理由は、取引先からの要請や取引継続への不安が中心です。売り上げ先から消費税額の記載を求められる場面が増えました。

支払書に消費税額が「ほとんど記載されている」と答えたフリーランスは61.0%です。課税事業者と免税事業者の間で、書類の扱いに差が残っています。

簡易課税制度を理解して申請している人は16.3%にとどまりました。負担を抑える制度を知らないまま、登録だけを済ませている人が少なくありません。

2026年10月からの控除変更

免税事業者からの仕入れは、買い手側も全額を控除できません。当初は2026年10月から50%に下がる予定でしたが、令和8年度税制改正で70%に緩和されました。

控除割合は80%から70%、50%、30%と段階的に下がり、2031年9月末で終了します。同じ免税事業者からの年間仕入れが1億円を超える部分には、経過措置が使えません。

出典: 国税庁『令和8年度税制改正特集(インボイス制度関係)』p.1(https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/zeimokubetsu/shohi/keigenzeiritsu/invoice-review/index.htm, 閲覧日2026-06-17)

買い手にとっては、未登録の取引先との取引コストが上がり続ける計算です。発注側が登録の有無を確認する動きは、今後も強まると考えられます。

2026年10月以降の控除割合の推移

価格転嫁が進まない現場の数字

公正取引委員会の調査では、要請した商品の7割以上で値上げが実現したと答えた受注者が82.5%いました。一方で、要請そのものができていない取引も多く、要請率が7割以上だった受注者の割合は53.9%でした。要請率が低い業種では、値上げの機会がそもそも減ります。

発注者が協議をしなかった理由の最多は「受注者から引上げの要請がなかったため」です。要請がなければ交渉の場が設けられない構図が、数字に表れています。

労務費の要請受諾率は67.4%で、前年度から5.0ポイント上がりました。値上げは進みつつあるものの、取引段階を遡るほど低くなります。

出典: 公正取引委員会『令和7年度価格転嫁円滑化の取組に関する特別調査の結果について』p.1(https://www.jftc.go.jp/houdou/pressrelease/2025/dec/251215_tokubetsuchousa.kekka.honbun.html, 閲覧日2026-06-17)

免税事業者との取引をどう守るか

免税事業者のまま取引を続ける場合は、消費税分の扱いを契約書で明確にします。価格を据え置くのか、税抜価格を見直すのかで、手取りは大きく変わります。

値下げを求められたときは、応じる前に条件を整理します。経過措置の終了時期を示し、将来のコスト上昇を踏まえた相談として伝えます。

フリーランス法は、一方的な報酬の減額や買いたたきを禁じています。交渉の記録を残しておくと、立場の弱さを補う材料になります。

免税事業者が取引を守るための交渉手順

最後に: 制度は毎年見直される

税制は毎年のように動きます。2026年の改正では控除の縮小が緩和され、期限も延長されました。

自分の取引先が登録しているか、控除が何割かを把握しておけば、変更の影響を早く見積もれます。制度の変化を定点で追うことが、価格交渉の土台になります。

公表資料の更新を日々追うのは大変ですが、変化に気づく仕組みがあると見落としを減らせます。小さな変更が、翌年の手取りを左右します。