競合の決算が出た。売上は伸びているのに、利益率は下がっている。
同じ数字を読んでも、取り方によって見える景色は変わる。この記事では、競合の決算情報を公開資料からたどる手順を、上場企業と非上場企業に分けて整理する。

公開資料には優先順位がある
最初に確認したいのは、競合が上場企業かどうかだ。上場企業なら金融商品取引法に基づく開示があり、誰でも無料で読める。非上場企業は公開される情報が限られるため、別の資料を組み合わせる。
結論から言えば、上場はEDINETとTDnet、非上場は官報と法人番号、という順番で探すと迷わない。それぞれの資料は目的と閲覧できる期間が違う。
上場企業はEDINETとTDnetで追う
EDINETは金融庁が運営する電子開示システムで、有価証券報告書や四半期報告書を閲覧できる。金融庁のサイトから閲覧サイトに入れる。企業名や提出日で検索できる。
決算短信のような適時開示は、東京証券取引所のTDnetで公開される。適時開示情報閲覧サービスに掲載されるのは、開示日を含めて31日分だ。過去10年分は東証上場会社情報サービスで閲覧でき、5年分の全データは有料のデータベースで追える。
決算説明資料は、企業のIRページに置かれることが多い。説明資料には経営陣の言葉が入り、数字の背景を読める。短信と説明資料をセットで見るのが基本だ。
非上場企業は官報と法人番号で探す
株式会社は、定時株主総会のあとに決算公告を行う義務がある。公告の方法は官報、日刊新聞、電子公告の3つから定款で選ぶ。何も定めていなければ官報による。
官報は行政機関の休日を除いて毎日発行され、直近90日分は無料で閲覧できる。決算公告は号外に載ることが多い。日付と発行番号を記録しておくと、あとで探し直しやすい。
会社名がはっきりしないときは、国税庁の法人番号公表サイトで調べる。商号、所在地、法人番号の基本3情報を検索でき、Web-APIでも取得できる。所在地がわかれば、登記や公告の探索範囲を絞れる。
決算公告は、3月決算の企業なら6月ごろに集中する。探す時期の目安として覚えておくとよい。
決算公告の仕組みを知っておく
決算公告で官報や新聞に載るのは、貸借対照表の要旨だ。大会社では損益計算書の要旨も加わる。詳細な注記やキャッシュフロー計算書までは載らない。
有価証券報告書を提出している企業は、決算公告が不要とされている。上場企業を官報で探しても見つからないのはこのためだ。公告義務を果たしている非上場企業も一部にとどまる。
つまり、非上場の競合は数字が取れないことがある。その場合は、業界団体の統計や信用調査会社のレポートで補う。

数字を比べて変化を読むコツ
1期分の数字だけを見ても、変化はわからない。同じ項目を3期から5期分ならべて、増減の向きを確認する。売上高、営業利益、純資産の3つから始めるとよい。
数字の裏側は、従業員数や設備投資、研究開発費の動きに出る。人が増えているのに利益が減っていれば、先行投資の局面かもしれない。
決算公告は要旨だけなので、細かい内訳まではわからない。それでも、数期分を並べれば事業の向きはつかめる。わからない部分は業界統計で補う。
決算は四半期や年に一度しか届かない。発表の間を埋めるのは日々の観測だ。数字と現場の変化を重ねて読む。

最後に: 決算は競合理解の入口
決算資料は、競合の戦略を数字で確認できる数少ない場所だ。無料で読める資料も多く、特別な契約は要らない。
まずは上場している競合を1社選び、EDINETで有価証券報告書を開いてみてほしい。読む習慣がつけば、変化の予兆に気づくのが早くなる。
