2025年、主要な食品メーカー195社が発表した値上げは年間2万609品目に達しました。前年の1万2520品目から64.6%増え、2023年以来2年ぶりの2万品目超えです。

では、その値上げは何月に多いのか。公開データを月別に並べると、価格改定のタイミングにははっきりした偏りが見えてきます。

2025年の値上げは4月と10月に山ができる

2025年の値上げは2万品目を超えた

帝国データバンクは、主要食品メーカー195社の発表を集計して値上げ品目を数えています。2025年は月に1千品目を超える水準が常態化し、単月で8千品目に迫る大規模なラッシュは起きませんでした。

1回あたりの平均値上げ率は15%で、前年の17%をやや下回りました。2023年の3万2396品目には届かないものの、値上げが一時的な現象ではなく、持続的に続く状態へ移った年だと分析されています。

出典: 帝国データバンク『「食品主要195社」価格改定動向調査 2025年通年/2026年見通し』p.1(https://www.tdb.co.jp/report/economic/20251226-neage25y12, 閲覧日2026-08-16)

月別で見ると4月と10月が山になる

2025年を月別に見ると、1月は1419品目、3月は2529品目と、年度替わりに向けて増えていきます。4月は4225品目まで跳ね上がり、2023年10月以来となる月間4千品目超えを記録しました。

秋にもう一つの山が来ます。10月は3161品目で、半年ぶりの3千品目超えです。焼酎や日本酒などアルコール飲料の一斉値上げが中心でした。

夏場は落ち着きます。7月は2105品目で4月の半分以下ですが、それでも1千品目を超えており、値上げが続く状態は変わりません。

1月の食パンや菓子パン、3月の冷凍食品や乳製品など、分野ごとに値上げの時期はずれます。それでも全体で見ると、4月と10月という半期の区切りに山ができる形は変わりません。

年間の値上げ品目数の推移

なぜ4月と10月に集中するのか

中小企業庁は、価格の改定は半期に一度、4月と10月に行う企業が比較的多いと説明しています。4月は新年度、10月は下期の始まりという区切りが、価格表やシステムの切り替えと相性が良いためです。

同庁はその前月にあたる3月と9月を価格交渉促進月間に定め、価格交渉を促しています。値上げの予兆は、発表の1〜2か月前に交渉の動きとして現れます。

出典: 経済産業省『価格交渉促進月間(2024年3月)フォローアップ調査の結果を公表します』p.1(https://www.meti.go.jp/press/2024/06/20240621002/20240621002.html, 閲覧日2026-08-16)

2026年は9月に4923品目が集中した

2026年は少し様子が違います。9月の値上げは4923品目で、2026年に入ってから最多となりました。単月で4千品目を超えたのは2025年4月以来1年5カ月ぶりです。

中東情勢の悪化による原油・ナフサ高に加え、人件費や物流費、円安が押し上げ要因です。10月も3033品目が見込まれ、4カ月連続で単月2千品目を超える計算になります。

9月の値上げを分野別に見ると、調味料が1959品目で最も多く、加工食品が1848品目と続きます。加工食品が単独で1千品目を超えたのは3カ月連続で、2023年2〜4月以来およそ3年半ぶりです。

1〜11月の累計は1万9083品目に達し、2年連続の年間2万品目超えが確実になりました。値上げの山は4月と10月だけでは説明できなくなっています。

出典: 帝国データバンク『「食品主要195社」価格改定動向調査 2026年9月』p.1(https://www.tdb.co.jp/report/economic/pricepass-on202608, 閲覧日2026-08-16)

変更検知で値上げの予兆を掴む

月別データは過去の傾向を示しますが、自社に関係する値上げは発表を待ってからでは遅いことがあります。取引先の料金ページやサービスページの変更を日々記録しておくと、公表前に動きを把握できる場合があります。

値上げの発表は各社のニュースリリースで行われますが、すべての企業が事前に知らせるわけではありません。価格表やサービスページが静かに書き換わることもあり、発表だけを待っていると見落とします。

特に4月と10月の改定は1〜2か月前から準備が進みます。監視の頻度を月1回から週1回に上げるだけでも、気づくタイミングは早くなります。

2023年から2026年までの値上げ品目数

最後に: データは過去、通知は現在

2万品目という数字の裏には、4月と10月に寄る山と、年によってずれるタイミングがあります。過去のパターンを知ったうえで、目の前の変更をどう捉えるかが実務では問われます。

料金改定は、発表されてからでは交渉の余地が小さくなります。日々の小さな変更を拾っておくことが、結果として値上げへの備えになります。