独立して最初に困るのは、仕事の中身より次の案件です。実績がまだない時期ほど、応募しても返事が来ない日が続きます。

では、稼いでいるフリーランスはどこから仕事を得ているのか。公開調査の数字を見ると、意外なほど地味な経路が上位に来ます。

フリーランス白書2025が示す獲得経路の順位

最も稼げたのは人脈というデータ

フリーランス協会の「フリーランス白書2025」は、最も収入につながった獲得経路の1位を「人脈(知人の紹介含む)」、2位を「過去・現在の取引先」、3位を「エージェントサービスの利用」とまとめました。営業ツールでは、ビジネス用メールアドレスと名刺を使う人が6割、SNSアカウントを使う人が5割です。

出典: フリーランス協会『フリーランス白書2025』p.1(https://blog.freelance-jp.org/20250331-23631/, 閲覧日2026-06-02)

ITエンジニアに絞った調査では、知人・友人からの紹介が41.8%で最多でした。企業との直接契約と過去の取引先からのリピートが37.3%で並び、フリーランス向けエージェント経由が34.5%と続きます。クラウドソーシングは21.8%、SNS経由は17.3%でした。

出典: キッカケクリエイション『フリーランスエンジニアの案件獲得実態調査』p.1(https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000049.000068613.html, 閲覧日2026-06-02)

人脈が強い理由は、単価交渉のしやすさだけではありません。紹介案件は営業の手間が少なく、信頼関係を前提に話が進むため、条件のすり合わせにかかる時間も短くなります。一方で、紹介してくれた相手の顔をつぶせないという制約も生まれます。

経路ごとの役割を分けて考える

獲得経路は、それぞれ得意分野が違います。人脈と取引先は単価と継続性、エージェントは案件数と非公開案件、クラウドソーシングは実績づくり、SNSと直営業は自分の名前での受注に向きます。

同じ人でも、経路が1つしかないと案件が途切れたときに収入が止まります。2つ目、3つ目の経路を普段から薄く動かしておくことが、空白期間を防ぐ備えになります。経路の組み合わせは、職種や生活スタイルで変わります。

主要な獲得経路の特徴を比較した図

エージェントを使うなら複数登録

エージェント経由は3位につけています。自分で営業しなくても案件を紹介してもらえる一方、担当者によって扱う案件の幅は変わります。複数社に登録して、紹介される案件と対応を比べるのが安全です。

エージェントを選ぶときは、提示される単価だけで判断しないことです。契約形態、支払いサイト、商流の深さまで確認しておくと、稼働後の想定外を減らせます。

クラウドソーシングは実績作りの場

クラウドソーシングは21.8%で、上位の経路より低い位置にあります。ただし、実績がゼロの人が最初の1件を取るには有効です。小さな案件でも納品と評価を積むと、次の経路へ移りやすくなります。

単価の低い案件に長く留まると、時給換算の収入は上がりません。同じ作業を3回こなして要領が固まったら、次は単価の高い経路へ応募先を移す時期です。最初の数件は、評価を集めるための投資と割り切るのが現実的です。

SNSと直営業は種まき型の経路

SNS経由は17.3%で、いまは少数派です。ただし発信を続けると、企業側から声がかかる形の受注が生まれます。すぐに結果は出ないため、他の経路と並行して続けるのが現実的です。

キッカケクリエイションの調査では、企業との直接契約のメリットとして「単価交渉がしやすい」が41.5%で最多でした。直営業は成約までの時間がかかる代わりに、条件を自分で設計できます。月に数社へ絞って提案し、反応を見ながら文面を直す運用が続けやすいです。

獲得経路を増やすための3ステップ

最後に: 接点は日々の更新で増える

白書の数字は、特別な営業術より日々の接点が効くことを示しています。独立したら、まず前職の同僚や取引先へ近況を伝えるところから始められます。連絡を絶やさないことが、数年後の案件につながります。

競合の動きも顧客の動きも、日々少しずつ変わります。自分の獲得経路を定期的に見直しながら、変化の兆しを早く拾う習慣を持ちたいところです。