「同じ条件で頼んだのに、見積もりが43万円違った」。ホームページ制作の相場を調べると、最初にこの矛盾にぶつかります。

よく引用される平均額は82.5万円と125.5万円の2つです。この記事では、この差がどこから生まれるのかを分解し、見積もりの読み方を整理します。

公表データで違う3つの金額(82.5万円・43.4万円・125.5万円)

同じ制作でも43万円の差が生まれる

まず、よく引用される2つの数字を見てみましょう。1つはWeb幹事の調査で、平均82.5万円、中央値43.4万円です。実際に発注された案件846件の集計です。

出典: 株式会社ユーティル『ホームページ制作の平均費用相場を大調査』n=846 p.1(https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000034.000016988.html, 閲覧日2026-05-13)

もう1つは優良WEBの調査で、平均125.5万円です。こちらは制作会社116社に「コーポレートサイトはいくらで請けていますか」と聞いた取材です。

出典: JetB株式会社『コーポレートサイト制作のリアルな料金相場を調査』116社 p.1(https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000036.000010333.html, 閲覧日2026-05-13)

同じ「平均」なのに、約43万円の差があります。どちらかが間違っているわけではありません。

差が生まれる理由は3つある

差の理由は、サンプルの種類、集計方法、費用の範囲の3つです。順番に見ていきます。

サンプルが「案件」か「会社」かで変わる

Web幹事の調査は、実際に発注された案件846件の金額を集計したものです。一方の優良WEBは、制作会社116社に主力価格帯を聞いた調査です。

案件ベースの集計は、小規模な案件の影響で平均が下がりやすいです。会社ベースの集計は、各社の主力価格帯に引っ張られて平均が上がりやすいです。

つまり「世の中で実際に払われた金額」と「制作会社がよく請ける金額」という、別のものを見ているのです。

平均ではなく中央値で読む理由

Web幹事のデータでは、平均82.5万円に対して中央値は43.4万円です。「50万円まで」の案件が約6割を占めています。

平均は一部の高額案件に引っ張られます。実際の感覚に近いのは中央値のほうです。平均だけを見て予算を組むと、過半数の案件より高い予算になりがちです。

「制作費」に何が含まれるかで変わる

3つ目の理由は、費用の範囲です。見積もりに何が含まれるかは、会社によって違います。

たとえば、デザインとコーディングだけの見積もりもあれば、戦略設計から公開後の運用まで含む見積もりもあります。プロの解説では、見積もりの主要項目として企画費やディレクション費、素材費など11項目が挙げられています。

出典: 株式会社マーカーネット『失敗しない!ホームページ制作時の見積もりの取り方を解説』p.1(https://www.markernet.co.jp/blog/見積もり, 閲覧日2026-05-13)

範囲を揃えずに平均を比べても、意味がありません。

見積もりは3つの順番で確認する

では、届いた見積もりをどう読めばいいのでしょうか。金額から見るのではなく、次の順番で確認します。

見積もりを分解する3ステップ(内訳・範囲・支払いと保守)

1つ目は内訳です。進行管理、要件定義、デザイン、コーディング、CMS、運用という項目があるかを見ます。総額だけの見積もりは、比較も検証もできません。

2つ目は範囲です。ページ数と機能の前提が書かれているか、公開後の費用が含まれるかを確認します。

3つ目は支払いと保守です。支払いの分割時期、修正のルール、保守の範囲の3点が明記されていると安心です。とくに修正のルールがないと、追加料金のトラブルにつながります。

出典: クーミル株式会社『ホームページ制作会社とよくあるトラブル一覧』p.1(https://coomil.co.jp/column/hp-trouble, 閲覧日2026-05-13)

発注でつまずく3つの落とし穴

見積もりの読み方を知っていても、つまずく場面はあります。よくあるのは追加料金、納期の遅れ、成果が見えないの3つです。

追加料金は、修正のルールを決めていないときに起きます。納期の遅れは、発注側の準備の遅れがそのまま遅延になります。成果が見えないのは、目的と測定方法を決めていないときです。

発注でつまずく3つの落とし穴(追加料金・納期の遅れ・成果が見えない)

見積もりの確認は、この3つを防ぐための作業でもあります。

最後に: 相場は「前提」として使う

相場は「答え」ではなく「前提」です。82.5万円と125.5万円の差は、調査対象と集計方法の違いでした。

見積もりを見るときは、金額の前に内訳と範囲を確認してください。この一手間が、発注の失敗を大きく減らします。