会議で競合の話になったとき、手元の資料に価格しか書かれていない。そんな経験はないでしょうか。競合の情報は、集める項目を決めておかないと、いざというときに使えません。
この記事では、競合分析シートの作り方を、目的の決め方から列の選び方、続け方まで順に説明します。特別なツールは必要なく、表計算ソフト1枚から始められます。

分析シートの前に目的を決める
シートを作る前に、その表を何の判断に使うのかを決めます。価格の見直しなのか、新サービスの企画なのか、営業トークの改善なのかで、必要な列は変わります。
目的が曖昧なまま情報を集めると、表だけが埋まって結論が出ません。まずは誰が、どの会議で、何を決めるために見るのかを一行で書き出しておきます。
たとえば、価格の見直しが目的なら、価格帯と原価に関わる列が中心になります。採用の動きを知りたいなら、募集職種と勤務地の列が必要です。目的から逆算して列を選ぶと、表の迷子になりません。
列は誰がいつ何を見るかで決める
列の数は多ければよいわけではありません。見る人が実際に使う項目だけを残すと、更新の負担が減って続けやすくなります。
国際協力機構(JICA)の解説では、競合分析は、競合他社を特定したうえで、価格・性能・技術・顧客ターゲット・流通・販売チャネルなどを調査し、自社の強みと弱みを重ねて戦略を立てる流れとされています。列設計はこの流れに沿わせると、表がそのまま戦略の材料になります。
基本の列と会社ごとに足す列
基本の列は、企業名、商品・サービス名、価格帯、顧客層、強み、出典の6つです。これに、業界に合わせた列を足していきます。
Shopifyの解説では、競合他社のデータを表にまとめるとき、価格帯、取扱商品、SNSチャネルとフォロワー数、集客チャネル、新規顧客向けのプロモーション、支払いオプション、配送オプションなどを含めるとよいとされています。自社の商売で比較したい項目を、この一覧から選ぶところから始めると迷いません。

直接競合と間接競合を分ける
競合は、同じ商品を売る直接競合だけではありません。顧客の同じ予算を取り合う間接競合や、将来参入してくる潜在的競合も表に入れておくと、見落としが減ります。
CANVASの解説では、競合は直接競合、間接競合、潜在的競合の3つに分類できるとされています。分類する列を1つ足すだけで、どの相手を重点的に追うかが決めやすくなります。
分類は一度決めたら終わりではありません。事業の拡大や新技術の登場で、間接競合が直接競合に変わることもあります。四半期ごとに見直すと、分類が古くなりません。
出典と確認日を各セルに残す
各セルの情報には、出典と確認した日付を小さく添えます。数字の根拠を後から聞かれたときに、すぐ答えられるようにするためです。
出典のない数字は、いつの間にか独り歩きします。更新のたびに上書きせず、変更履歴を別の列や別シートに残すと、変化の流れも追えます。
確認日は西暦でそろえると、並べ替えや比較がしやすくなります。担当者名を添えておくと、更新の引き継ぎもスムーズです。
更新できるシートにするコツ
シートは完成させようとせず、使いながら育てます。足りない列に気づいたときに足していけば、無理なく育てられます。
競合分析は一度きりの作業ではありません。更新しないままの表は誤った状況認識につながるため、定期的に見直すことが大切だとShopifyも指摘しています。

最後に: シートは競合を見る窓になる
シートの列は、競合のどこを見るかを決める窓です。窓を決めておくと、日々の情報も同じ場所に集まり、変化に気づきやすくなります。
大切なのは、立派な表を作ることではありません。少ない列でよいので、決めた頻度で更新し続けることです。
次にシートを開くときは、前回からの変化だけを見れば十分です。変化を追う道具として使えれば、シートは自然と長続きします。
