毎週3時間。競合サイトを見て回る時間を、そのまま時給で測ったら何円になるだろうか。

この記事では、公表されている統計と公開事例をもとに、チェックにかかる時間を金額へ換算します。自社の実測値がない場合でも、同じ手順で自分の数字に置き換えられます。

金額に変える3ステップ(時給を出す・時間を数える・掛け算する)

時間を金額に変える計算の手順

計算は3ステップです。まず1時間あたりの人件費を出し、次に1年あたりのチェック時間を数え、最後に掛け合わせます。

ポイントは、時間の見積もりを感覚で決めないことです。公表されている賃金統計と公開されている事例の数字を使えば、第三者が同じ手順で追試できます。同じ数字でも、仮定を変えたら結果がどう変わるかを確かめておくと、試算を過信しすぎずに済みます。

人件費の根拠は公的統計を使う

厚生労働省の毎月勤労統計調査によると、令和6年度の一般労働者の所定内給与は月334,392円で、総実労働時間は161.6時間でした。所定内給与を総実労働時間で割ると、1時間あたり約2,069円になります。

この金額は賞与を含まない所定内給与ベースです。実際の人件費は福利厚生などでさらに大きくなるため、ここでは低めに見積もった数字として扱います。実際より低めの時給で計算しておけば、効果を過大に見せる心配も減ります。

出典: 厚生労働省『毎月勤労統計調査 令和6年度分結果確報』p.1(https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/monthly/r06/24fr/dl/pdf24fr.pdf, 閲覧日2026-07-21)

競合チェックは週何時間のデータ

公開されている事例では、マーケティング担当やプロダクト担当が週2〜3時間を兼務で充てるケースが紹介されています。週3時間かけていた情報収集が、AIの整理フローで30分程度に圧縮された例もあります。

月単位では、10時間以上を情報収集だけに使う例や、20時間を競合3社の比較シート更新に使う例も示されています。チェックの頻度や競合の数で、時間は大きく変わるということです。

出典: アーストラクト『競合分析・市場調査にAIを使う前に整理すべき業務と責任の境界線』p.1(https://arstruct.co.jp/blog/ai-kyogyo-bunseki-shijo-chosa-jissen-donyu-2026, 閲覧日2026-07-21)
出典: Compato『競合インテリジェンスを組織に根付かせる方法』p.1(https://compato.app/blog/competitive-intelligence-team-setup, 閲覧日2026-07-21)

週3時間なら年32万円の計算

週3時間のチェックを1年続けると、3時間×52週で156時間です。時給2,069円を掛けると、約32.3万円分になります。

月10時間なら年120時間で約24.8万円、月20時間なら年240時間で約49.7万円です。同じ巡回でも、時間の見積もりが変われば金額は大きく変わります。どの数字を仮定に置くかで、結果は何割も変わります。

チェック時間の年間換算(週3時間で約32.3万円・月20時間で約49.7万円)

ツール料金との損益分岐点を出す

競合ウォッチの公開後の予定価格は、ライトが月額980円、スタンダードが月額2,980円、プロが月額4,980円です。年額にすると、それぞれ11,760円、35,760円、59,760円になります。

時給2,069円で割ると、スタンダードの年額は約17時間分です。週3時間のチェックを続けている人なら、約6週間分の作業時間で1年分の料金に相当する計算になります。

出典: 競合ウォッチ『ホーム』p.1(https://kyogowatch.com, 閲覧日2026-07-21)

プラン別の回収ライン(ライト約6時間・スタンダード約17時間・プロ約29時間)

外注する場合の費用相場と比較

調査会社に頼む場合、公開情報の整理なら数万円から数十万円、複数国を対象にした大規模調査では数十万円から数百万円が目安とされています。時間に加えて、外注費という直接のコストがかかります。公開情報の範囲で依頼する場合でも、それなりの予算が必要です。

調査の目的と必要な精度によって、自社でやるか外注するかは変わります。日々の小さな変化を拾う監視は内製かツール、じっくり深掘りする調査は外注、という切り分けが現実的です。

出典: 未来トレンド研究機構『競合調査のコスト』p.1(https://espers.co.jp/column/18438/, 閲覧日2026-07-21)

最後に: 試算は会話の出発点

試算は、ツールを選ぶ理由を作るためのものではありません。いま何に何時間使い、それが何円分にあたるのかを、共通の数字で話すための道具です。数字が独り歩きしないように、前提も一緒に共有しましょう。

削減率は出典によってばらつきがあり、すべての時間がそのまま浮くわけでもありません。自社の時間と公的統計の時給で計算し、料金と比べるところから始めてみてください。