2025年、学習塾を経営する事業者の倒産は46件で過去最多となった。学年の生徒が減る一方で、塾の数は簡単には減らない。少子化時代の教室争奪が始まっている。
この記事では、倒産件数、6歳から18歳の人口、オンライン授業の台頭という3つのデータから、学習塾の淘汰を追う。数字は何を語っているのかを見ていこう。

2025年に過去最多となった倒産
帝国データバンクの速報では、2025年の学習塾の倒産は46件で、前年の40件を上回り過去最多を更新した。倒産した塾の約9割が資本金1000万円未満の小規模経営だった。
帝国データバンクの2025年度上半期集計では、1月から9月の倒産が37件に達し、この期間として過去最多となった。負債1億円未満が35件と大半を占める。
負債総額が小さい倒産が多いのは、教室と講師だけで始められる塾の構造を映す。それでも退出が続けば、地域で選べる塾は減っていく。
少子化で生徒の争奪戦が起きる
学習塾の主な利用層である6歳から18歳の人口は、2019年の約1405万人から2024年の約1336万人へ約5%減った。総務省の人口推計をもとにした帝国データバンクの整理だ。
都市部では大手塾がひしめき、生徒の奪い合いが起きている。2025年1月から9月の倒産は東京が10件、大阪が7件と都市部に集中した。
出生数は2022年に約77万人まで減り、前年から約5.0%の減少だった。この流れは塾の顧客層に10年後も効き続ける。

オンライン授業が競争を変えた
コロナ禍以降、オンライン授業に特化した事業者や学習用スマートフォンアプリが台頭した。対面とオンラインを選べる塾は遠方の生徒も取り込めるが、設備投資の負担が増える。
帝国データバンクは、業歴の長い塾もデジタル投資を迫られ、その結果として借入金が膨らむケースがあると指摘している。投資が裏目に出れば、生徒数が戻っても経営は苦しくなる。
オンライン授業は教室の広さに縛られない半面、通信環境や教材システムの維持費がかかる。対面との併用は、二重のコストを抱えることでもある。
値上げで売上を守る塾の構図
経済産業省の分析では、少子化が進むなかでも学習塾の売上高はおおむね増加傾向にある。受講生一人あたりの売上高は2016年以降増え続けており、値上げで売上を確保する姿が見える。
ただし値上げできるのは、合格実績や指導力で選ばれる塾に限られる。価格で選ばれる塾は、生徒が1人減るだけで収益が崩れやすい。
受講料を上げられる塾とそうでない塾の差は、そのまま経営体力の差になる。値下げで生徒を集める戦略は、固定費の上昇局面で息切れしやすい。

講師確保と投資負担の二重苦
塾の経営では、講師の確保も大きな課題だ。帝国データバンクは、人手不足の深刻化により講師の確保が難しくなっていると指摘している。
同社は、大都市圏では資本体力の乏しい事業者を中心に、今後も倒産が増えそうだと指摘した。地方でも講師確保という別の壁が残る。
人件費、設備投資、家賃。どれも値下げできる費用ではない。生徒数が減る局面では、固定費の重さがそのまま倒産リスクになる。
講師の採用は、給与だけでなく働き方でも差がつく。シフトの柔軟さや研修体制が整わなければ、応募は集まらない。
最後に: 塾の変化をどう見張るか
中学生や高校生の人口が減っていく流れは、しばらく変わらない。だからこそ、生徒一人あたりの売上と合格実績をどう積むかが、塾の存続を分ける。
競合塾の値上げ、コース追加、講師募集の動きは、決算を待たずに公開情報へ出る。教室の数と募集内容を定点で見ることが、地域の競争環境をつかむ近道になる。
塾の数は、閉校や新規開校の告知で先に動く。地域の看板が入れ替わる速度を見れば、競争の温度がつかめる。
