2026年上半期、建設業の倒産は1043件でした。上半期に1000件を超えるのは13年ぶりで、工務店や町の工事店が厳しい状況に置かれています。
この記事では、帝国データバンクの公開データから、建設業で何が起きているのかを整理します。人手不足と価格競争という2つの圧力が、どの数字に表れているのかを追います。

建設業の倒産は2025年に2021件
帝国データバンクによると、2025年の建設業の倒産は前年比6.9%増の2021件でした。4年連続の増加は2000年以降で初めてで、2013年(2347件)以来12年ぶりの2000件超えです。
倒産の背景にあるのは、人手不足による人件費の急騰、工期の延長、建材価格の上昇です。帝国データバンクは、コスト上昇分が請負単価に転嫁されず、手元資金が薄くなる構造を指摘しています。
倒産と廃業を足すと5937件
2026年1月から6月までの建設業の倒産は1043件で、前年同期から6%増えました。同じ期間の休廃業と解散は4894件に上り、両者を合わせた撤退は前年比24%増の5937件です。2000年以降で最多となります。
業態別では、新築戸建てを担う工務店などの木造建築工事が947件で最も多くなりました。建築資材の高騰に加え、住宅ローン金利の上昇で着工数が減り、住宅を手がける会社の撤退が目立ちます。

人手不足倒産は建設業が最多
2026年上半期の人手不足倒産は227件で、上半期としては5年連続の増加となり過去最多を更新しました。業種別では建設業が65件で最も多く、サービス業の59件、運輸・通信業の38件が続きます。
帝国データバンクの2026年7月調査では、正社員の人手不足を感じる建設業の割合は66.0%でした。資材の高騰と人員不足が重なり、赤字覚悟で受注するという声も調査で報告されています。
価格転嫁が追いつかない構造
物価高を原因とする物価高倒産は、2026年上半期に556件発生して過去最多を大幅に更新しました。業種別では建設業が151件で最も多く、小売業の118件、製造業の103件を上回っています。
2026年6月だけで113件が発生し、単月としても過去最多を更新しました。値上げができないまま仕入れが膨らむ構図は、下請けの多い建設業で特に重くのしかかります。
建設業では、資材や人件費の上昇分を取引価格に載せられない状態が続きます。帝国データバンクが公表した企業の価格転嫁率は39.9%で、前回調査から再び4割を下回りました。

工務店と職別工事に負担が集中
2026年上半期の建設業の倒産を細かく見ると、大工工事や土工事などを含む職別工事が522件に達しました。上半期として500件を超えるのは2012年以来14年ぶりです。
職別工事は元請けから工事を請け負う下請けの会社です。2026年8月の建設業倒産182件でも職別工事が86件を占め、設備工事の45件と合わせると全体の7割を超えます。
負債の規模を見ると、2025年の建設業倒産では5000万円未満が57.7%を占めました。小さな会社ほど資金の余裕がなく、退出に追い込まれやすいことがわかります。
帝国データバンクは、経営者の病気や死亡を主要因とする倒産が2025年に78件判明し、2000年以降で最多になったと報告しています。建設業の社長の平均年齢は60.3歳で、事業承継も課題です。
最後に: 撤退の数字をどう読むか
建設業の倒産は、受注がないから起きているわけではありません。むしろ工事はあるのに、人と資金が足りずに続けられないケースが目立ちます。
帝国データバンクは、建設業では売り上げを伸ばした会社でも倒産に至る例が複数確認されたとしています。増収でも資金が足りなくなる構造こそ、この業界の難しさです。
同業の撤退は、残った会社にとっては働き手や顧客を引き受けられる機会でもあります。競合の動きや地域の工事店の変化を定点で見ておくことが、受注環境の変化に気づく手がかりになります。
