2025年の企業倒産は1万261件でした。12年ぶりに年間1万件を超えた数字ですが、業界ごとの濃淡は大きく違います。

この記事では、帝国データバンクと東京商工リサーチの公開統計から、競争が激しく淘汰が進む業界をどう見分けるかを整理します。倒産件数だけでは見えない退出の全体像も追います。

2025年の倒産まとめ(1万261件・サービス2648・小売2193・建設2021)

2025年の倒産は1万件を超えた

帝国データバンクの集計では、2025年の倒産件数は1万261件で、前年から3.6%増えました。4年連続の増加で、1万件超えは2013年以来12年ぶりです。

東京商工リサーチの四半期データでは、1〜3月期が2457件、4〜6月期が2533件、7〜9月期が2639件、10〜12月期が2671件でした。後半ほど多くなっており、増加は年末まで続いたことが分かります。

出典: 帝国データバンク『倒産集計 2025年報(1月〜12月)』p.1(https://www.tdb.co.jp/report/bankruptcy/aggregation/20260113-bankruptcy2025/, 閲覧日2026-08-08)
出典: 東京商工リサーチ『2025年12月の全国企業倒産928件』p.1(https://www.tsr-net.co.jp/news/status/detail/1202287_1610.html, 閲覧日2026-08-08)

業種別で見る倒産件数の順位

7業種のうち6業種で前年を上回りました。件数が最も多いのはサービス業の2648件で、2000年以降では最多です。

次いで小売業が2193件、建設業が2021件と続きます。小売業は2008年に次いで2番目、建設業は2013年以来12年ぶりに2000件を超えました。

増加率では建設業が6.9%増で最も高く、小売業が5.1%増、サービス業が4.0%増でした。件数の多さと伸びの速さは、別の指標として見る必要があります。

サービス業の内訳には広告や情報サービス、警備などの分野が含まれます。小売業のなかにも飲食店や飲食料品小売が入り、分類の名前だけで判断すると見落とします。

細分類データに見る競争の激しさ

業種の大きな括りだけでは、現場の競争は見えません。帝国データバンクは、飲食店の倒産が900件で2000年以降最多になったと報告しています。

サービス業では広告・調査・情報サービスが852件で全体を押し上げ、警備業の増加も目立ちました。小売業では飲食料品小売が340件と増えています。

同じサービス業でも、伸びる分野と淘汰される分野が混在します。細かい分類まで下りて初めて、競争の圧力が数字に表れます。

競争が激しい業界とは、価格や人材の取り合いが続き、退出が増えている分野です。倒産件数の増加率は、その圧力の強さを映す指標になります。

物価高と人手不足が押し上げる

原因別では、物価高倒産が949件で2年連続の過去最多でした。内訳は建設業240件、小売業216件、製造業174件で、仕入れや燃料の影響が大きい業種に偏っています。

人手不足倒産は427件で、初めて400件を超えて過去最多を更新しました。サービス業114件、建設業113件が上位で、人を採れず受注を回せない状態が倒産につながっています。

後継者難倒産も503件と高水準です。業績が悪くなくても、次の経営者がいなければ会社は閉じます。

原因別の倒産(物価高949・ゼロゼロ融資後636・後継者難503・人手不足427)

休廃業まで含めた退出の規模

倒産だけでは、競争の終わり方は見えません。東京商工リサーチによると、2025年の休廃業・解散は6万7210件で、3年連続で過去最多を更新しました。

産業別ではサービス業他が2万1961件、建設業が1万283件、小売業が7903件です。増加率が最も高かったのは情報通信業の15.2%増でした。

代表者が60代以上の企業は90.6%に達し、80代以上も34.0%と初めて3割を超えました。倒産と休廃業を合わせた退出は7万7000件台に達する見通しです。

出典: 東京商工リサーチ『過去最多の6.72万件、赤字企業率は47.2% 代表者60代以上の退出が加速』p.1(https://www.tsr-net.co.jp/data/detail/1202284_1527.html, 閲覧日2026-08-08)

倒産と休廃業で見る退出の規模(倒産1万件・休廃業6.7万件・退出7.7万件)

最後に: 数字は業界の体温計

倒産件数は、業界の競争がどれだけ厳しいかを映す鏡の1つです。ただし、件数が多い業界と、淘汰の速度が速い業界は同じとは限りません。

自社がいる業界の数字を、増加率と細分類の両方で追うと、変化の兆しが早く見えます。統計は四半期ごとに更新されるので、定点で確認する習慣をつけたいところです。